館山駅前にある「館山中村屋」は、1919(大正8)年創業の老舗ベーカリーである。現在も創業当時の手法で伝統の味を守ることにこだわっていることで知られる。通称「なかぱん」。
もともとは、1902(明治35)年に本郷東大前にあった「中村屋」に従業員として働いていた、館山中村屋創業者である長束実氏であるが、1907(明治40)年に中村屋の大旦那である相馬愛蔵氏が新宿に出店(のちの新宿中村屋)したことで、本郷の店を任される。
その後、1919年に独立。当時は館山は避暑地として有名で、本郷店の常連客も夏は館山の別荘へ移っていたことから、これに合わせて夏場だけ館山に出店していたのが、現在の館山中村屋のはじまりである。
現在の館山駅前での本格的な営業は2代目である長束七郎氏から始められ、現在は4代目店主である長束清実氏が受け継いでいる。
看板商品は特製のオリジナルクリームがたっぷり入ったクリームパンや、ボリュームある粒餡が詰まった特製アンパン、干しぶどうを塊で入れてある中村屋オリジナルぶどうパンのほか、ここでしか味わえない懐かしいロシアケーキなどの焼き菓子、館山屈指の人気を誇るモカソフトなどがある。
地元客はもちろんのこと、観光客からも人気。
館山駅前店のほか、館山バイパス店と君津店を展開している。