お散歩好き、旅好きの人に、ぜひお試しいただきたいのがマニュアルフォーカスレンズを使ったカメラ撮影。思い出を残すために、記録を残すためにと、カメラで撮影する動機はさまざまだと思いますが、特に前者の場合ならなおさらマニュアルフォーカスレンズを使用すると良いのでは、と思っています。
マニュアルフォーカスならではですが、オートフォーカスよりもじっくり撮影することで、あとから写真を見返したときに、より一層そのときの情景が記憶に深く刻まれるのではないかと感じます。
そこでご紹介したいのが、高級カメラ「Leica」向けにマニュアルフォーカスレンズを数多く提供するブランド「TTArtisan」。別記事で紹介した7artisansのレンズ生産を請け負うメーカーによる独自ブランドで、その技術力と開発力の高さは、世界中のカメラ愛好家たちから期待を寄せられています。
そんなTTArtisanが2020年秋からマイクロフォーサーズとAPS-C向けのレンズの展開を突如として開始。価格は高級路線なブランドとは思えないほど廉価なのです。
TTArtisan 35mm f/1.4 C
そんなTTArtisanの廉価レンズとして登場したのが「TTArtisan 35mm f/1.4 C」。購入当時の価格はAmazon.co.jpで8000円以下です。開放1.4のレンズが8000円以下ですよ。信じられないほど低価格。
パッケージからして廉価とは思えないほどしっかりしているのは非常に好印象。低価格ラインであろうとも妥協がないんだろうなと思わせるものがそこにあります。
なんというか、とても重厚感のある見た目。素材が金属製ということもあって、まったくもってチープさなど感じさせません。さわり心地もしっとりと指先に吸い付くようで、これまた好印象。
レンズ側が絞りリングとなっていて、回すとクリック感のあるタイプ。開放1.4〜4までは1/2段で調節が可能で、4以降は1段ずつの調節が可能です。レンズサイズから言っても、この割り切りはユーザビリティを向上させる一因になっていると思います。
ボディ側のフォーカスリングは滑らかで、やや重めと感じましたが、慣れれば全然スムーズ。むしろフォーカスが行きすぎず戻りすぎずで、使い勝手としては良い方向ではないでしょうか。
FUJIFILM X-E3に装着して撮影してみました。いずれもJPEG撮って出し。フィルムシミュレーションはVelviaカスタムとなっています。
35mm判換算52mmのレンズなので、人の視野角に近いんですよね。目で見ている大きさや感覚がそのまま反映されるので、頭の中で思い描いた画に限りなく近く撮影できると思います。
そういう意味でも、お散歩や旅のお供として最適な画角であると言えます。
描写能力としては価格からは考えられないほどに優秀。樽型歪曲も少なく、逆光耐性も強め。開放1.4という明るさもあって、ボケ味もとても良い。風景はもちろんのことポートレート、テーブルフォトといろいろなシチュエーションに対応できるレンズだと思います。