松江城内の北側に位置する神社が「城山稲荷神社」である。創建は1638(寛永15)年。
日本三大船神事である「ホーランエンヤ」の起源である松江城山稲荷神社式年神幸祭で有名。
創建された同年に新たに領国入りした松平直政の夢枕に一人の美少年『稲荷新左衛門』が現れ、「城内に住む場所を作ってくれれば、あらゆる災厄から守る、城内は無論のこと江戸の屋敷も火事から守る」と言って消えたという。直政はそれを受けて早速稲荷神社を勧請した。その稲荷神社こそが城山稲荷神社だと伝わっている。
そうした由緒故に、火難除けの神社として知られており、松江に住まう人々は城山稲荷神社のお守りが各家庭に置かれた。これを見た作家・小泉八雲は「松江唯一の防火設備」と称したという。
その小泉八雲はこの神社をいたく気に入っており、松江に住んだ1年ほどの間、ほぼ毎日のように城山稲荷神社を訪れていたそうで、随神門そばにある一対の狐像をとりわけ愛でていたという。
神社にはかつては2000体を超える石狐があったそうだが、現在はその半分の1000体ほどである。この中に玉を持った石狐が1体だけあるといい、それを見つけたものは願いが叶うとされている。