長野・小諸にある温泉旅館。1898(明治31)年創業。
アメリカで医学を学んだ小諸義塾塾長の木村熊二が、中棚付近の湧き水を使うと切り傷の治りが早いことに気づき、それをきっかけに木村熊二協力の下、開湯されたのが前身となる中棚鉱泉である。
1899(明治32)年に小諸義塾へ英語と国語の教師として赴任したのが明治の文豪・島崎藤村。藤村は足掛け7年ほどを小諸で過ごし、結婚や子どもを設けたのも小諸であり、文学者になることを決意したのも小諸なのだが、そんな藤村を小諸で支えたのが木村熊二だった。そのこともあり、当時の中棚鉱泉には藤村も足繁く通っていたという。
中棚荘では、そんな島崎藤村の代表作「初恋」をモチーフに、10月から5月ごろまで内湯の湯船にりんごを浮かべる「初恋りんご風呂」を提供している。