JR横須賀線、江ノ電「鎌倉」駅よりほど近い場所に、南フランス・ニースの雰囲気ただよう建物があるのをご存知でしょうか?
横須賀線のホームからも眺められるので、見たことがある人も多い建物ではないかと思います。
屋根に使われているのはフランス瓦。エントランスはレンガが敷かれ、季節の花々と緑に囲まれたこちらの店は、1982年に創業した洋菓子店「LESANGES」さん。
ここ鎌倉に本店を構え、現在は西鎌倉、横浜にも支店を置く、屈指の人気店です。
店名はニースの街の正面にある「天使の湾」とも呼ばれるBaie les Angesをイメージしたものだそう。
ヨーロッパ伝統菓子を日本人向けに提供
レ・ザンジュさんは創業以来、ヨーロッパの伝統菓子を提供している老舗。
菓子に使われるフルーツは、すべて生産者までさかのぼって選び抜くというこだわりようで、さらにヨーロッパの伝統菓子を日本人の舌に合うようにアレンジする技術が脈々と受け継がれ続けています。
フルーツのみならず、選りすぐった原材料をたっぷりと使った少し贅沢な焼菓子は、常に人気。伺ったのは平日でしたが、15時過ぎにはだいぶ数が少なくなっていました。
平時ならショーケースの中は季節に合わせたスイーツはもとより、レ・ザンジュ独自の商品まで種類豊富なのだそう。もう少し早い時間に再訪したいですね。
とはいえ、今回は致し方なし。何より注文したかったものはしっかりあったので良しとしましょう。
注文後はサロンスペースでゆったりまったりと
レ・ザンジュさんの洋菓子はテイクアウトだけでなく、店内のサロンスペースでいただくこともできます。もちろん、サロンスペースではお茶を注文することも可能。
紅茶にもこだわっているようで、オーソドックスなダージリン、アッサムのほか、フレーバーティーなども提供していて、春になるとダージリンのファーストフラッシュを味わうこともできるそうです。
個人的にコーヒー党なもので、ブレることなくホットコーヒーを注文しました。
そして、注文したのがこちら。日経プラスワンなんでもランキングにて「秋だ! 栗だ! モンブランだ! 第2位」を獲得したという和風モンブランです。
国産の和栗を蒸して丁寧に裏ごししたペーストに、生クリーム、小麦粉を使わないクレームダマンドを流し込んで焼き上げたタルトベース。
口に入れるとそれらが渾然一体となって、得も言えぬ美味しさを堪能できます。
また、なによりも香りがいいですね。
とてつもなく芳醇な香りの正体はラム酒なのですが、そんじょそこらのラム酒ではなく、「コニャックを超えた」と言わしめる「ディロン」という最高級ラム酒です。
厳選された素材と、手間を惜しまない調理があればこそ。ひとつ800円というお値段にも納得しかありません。美味。
モンブランが大好きなヨメさまも、とても満足していたようで、終始笑顔がこぼれていましたよ。
鎌倉散歩でちょっと贅沢を
鎌倉にはたくさんの店があり、特に小町通りには手軽に食べられるものも多く、散歩しているとついつい買い食いしてしまうんですが、たまには買い食いを控えて、こんなちょっとした贅沢を味わうのもいいですね。
線路脇なのに、記憶の中の店内は不思議と静かで、駅前の喧騒感も無縁。
提供している洋菓子も贅沢ですが、そんな空間で過ごす時間こそ、本当に贅沢なものなのかもしれません。