玉造温泉の温泉街の奥、玉湯川沿いの小高い森に鎮座する「玉作湯神社」。古代から勾玉などの玉作りで知られた玉作の地の守り神で、1300年あまりの歴史を持つとされる玉造温泉の守り神でもある。式内社で、『出雲国風土記』には「玉作湯社」と記されている。
主祭神は、三種の神器のひとつ八坂瓊勾玉を作ったと伝わる玉作の祖神・櫛明玉命。あわせて、温泉の発見と守護の神である大名持命と少彦名命を祀る。境内の韓国伊太弖社には五十猛命が祀られ、植林や産業の守護神として信仰される。
玉作の里の神社
玉造一帯は弥生時代末期から玉作りが盛んだった土地で、国の史跡「出雲玉作跡」が広がる。神社の境内もその一角(宮ノ上地区)にあたる。参道の石段脇には、古代の家形埴輪を模した収蔵庫があり、出雲玉作跡から出土した玉類や砥石など、国の重要文化財に指定された資料が収められている。
現在の本殿は1857(安政4)年に再建されたもので、大社造を変形させた様式だ。参道には鳥居が二基続き、二の鳥居のそばには「神陵之杜」と刻まれた石標が立つ。江戸時代には松江藩の御茶屋が境内に隣接して置かれ、藩主の参詣もあったと伝わる。
願い石と宮橋
参拝者に人気なのが、境内の「願い石(真玉)」だ。社務所で小さな「叶い石」を受け、御神水をかけて願い石にそっと触れながら願い事を3回唱え、願い札と一緒に持ち帰るという独特の作法がある。自分だけのお守りを作る参拝として、温泉客を中心に多くの人が訪れる。願い札は2枚複写で、1枚を拝殿の納入箱に納め、もう1枚を叶い石と一緒にお守り袋に入れて持ち帰る。
神社の前を流れる玉湯川には、赤い欄干の宮橋が架かる。鳥居と一緒に写真に収まる橋で、温泉街の散策の途中に立ち寄りたい。
