雲南市大東町須賀に鎮座する古社。旧県社で、733(天平5)年の『出雲国風土記』に名が見える「須我社」に比定される。主祭神は須佐之男命と稲田比売命の夫婦神、その御子神である清之湯山主三名狭漏彦八島野命で、武御名方命を配祀する。
社伝では、八岐大蛇を退治した須佐之男命は、稲田比売命とともに住む土地を探し、この須賀の地に至った。「吾が御心清々し」と述べて宮を造ったのが、『古事記』『日本書紀』に記される須賀宮であり、日本で初めての宮殿とされることから「日本初之宮」と呼ばれる。その折に須佐之男命が詠んだ「八雲立つ 出雲八重垣 つまごみに 八重垣つくる その八重垣を」は日本最古の和歌と伝わり、この地は「和歌発祥の社」とも呼ばれる。歌の中の「出雲」は、出雲の国名の起源ともいわれる。
参道の入口に立つ石造の大鳥居は、石造りの鳥居としては山陰最大とされる。拝殿と本殿は大社造で、本殿は変形大社造の社殿として島根県の有形文化財に指定されている。境内には、かつて温泉が湧いたという蓮池に、一つの根元から男松と女松が寄り添って生える夫婦松がある。9月28日の例大祭では、神代神楽の奉納や綱引き大会が行われる。
本社の背後にそびえる八雲山の中腹には、奥宮の夫婦岩が鎮まる。大中小三つの磐座が寄り添うように並ぶ巨岩で、須佐之男命と稲田比売命、八島野命の三柱の神霊が鎮まるとされる。古来、本社と奥宮の両方を参る「二宮詣で」が習わしだ。登山口までは車で約2km、そこから60基の歌碑・句碑が並ぶ「文学碑の径」と清めの湧き水「神泉坂根水」のある山道を、徒歩片道約15分で登る。奥宮は良縁結び、夫婦円満、子授けのご利益で知られる。
良縁成就、夫婦円満、子授・安産、除災招福。須佐之男命が諸悪を切り鎮める「悪切」の神としても信仰され、さまざまな願いを受け止めてきた。日本で最初の宮が建ったと伝わる地に、山あいの静けさが満ちている。
