出雲市斐川町直江の里に鎮座する「御井神社」。参道入口の石碑に「安産守護」と刻まれるとおり、安産と子授けの神として古来より信仰を集めてきた神社である。主祭神は木俣神。大国主神と八上比売の御子神で、安産と水の守護神とされる。
『出雲国風土記』や『延喜式』にもその名が見られる由緒ある社で、社名の由来は境内に残る3つの井戸にある。
3つの井戸と安産の伝承
言い伝えによれば、懐妊した八上比売は大国主神を訪ねたものの、正妻の須世理姫を恐れて直江の里まで引き返し、この地で産気づいた。そこで生井・福井・綱長井の3つの井戸を掘って身を清めたところ、玉のようにうるわしい御子を安産で授かったという。この故事から、木俣神は安産の守護神として信仰され、生まれた御子のうぶ湯に使われた井戸は今も涸れることなく残されている。
「当社を拝み、神秘の神符をいただくにおいては、安産疑いなし」と伝えられ、安産祈願や子授け祈願に地元はもとより全国から参拝者が訪れる。戌の日の安産祈願のほか、お宮参りや七五三など子どもの節目の参拝でも親しまれている。
令和の式年遷宮
2025(令和7)年には式年遷宮が行われ、3月9日に仮遷座祭、11月1日に正遷座祭が斎行された。写真に写る案内看板は遷宮を前にした2024(令和6)年10月撮影のもので、新しい社殿とともに信仰は次の時代へ受け継がれている。
斐川の里に鎮座する社
宍道湖の南、斐川平野の田園風景のなかに鎮座する。参道脇の石碑と木立に囲まれた鳥居が目印で、豊かな水に恵まれた里の暮らしとともに、安産の祈りが静かに受け継がれている。
