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興雲閣

島根県松江市の「松江城」内に、1903(明治36)年に明治天皇行幸の御宿所として建設された擬洋風建築迎賓館が「興雲閣」である。
かつての藩政時代には御書院、御風呂屋などがあった松江城山二の丸の上壇、松江神社の隣地にあり、建設時の名目は松江工芸陳列所であった。

擬洋風建築としては最後の例とされており、その壮麗な館の建設には13489円(現在貨幣価値にして約2億7000万円)がかけられたが、日露戦争勃発により明治天皇の行幸は叶わなかった。しかし1907(明治40)年5月、のちの大正天皇であり当時の皇太子であった嘉仁親王が行啓。その際に宿泊施設として使用された。

第二次世界大戦後は、松江市教育委員会庁舎などに転用。1973(昭和48)年からは松江郷土館として歴史民俗資料や工芸品などを展示。2011(平成23)年3月に松江歴史館が開館したことにより、展示機能を移転して役目を終えた後、2013(平成25)年から2年間に亘る保存工事が行われ、2015(平成27)年10月から一般公開されている。島根県指定文化財のひとつでもある。

正面階段
嘉仁親王をはじめ多くの人を迎え入れた正面階段
階段踊り場
赤絨毯が敷き詰められた階段踊り場
応接室兼拝謁所から望む景色
ポーチ上にある応接室兼拝謁所から望む景色