石見銀山のふもと、銀山川沿いの谷間に延びる「大森の町並み」。約2.8キロメートルにわたって、武家屋敷や商家、郷宿、社寺がまとまって残る鉱山町の景観で、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。石州瓦の屋根と白壁、下見板張りの外壁が連なる通りは、今も人々の暮らしが続く生きた町並みだ。
大森は、江戸幕府直轄地だった石見銀山領、約4万8千石・約150ヵ村の中心の町だった。銀山は14世紀初めに発見されたと伝えられ、17世紀初頭に産銀量のピークを迎えて海外にも輸出された。1923(大正12)年に閉山した後も、代官所を中心に栄えた町の骨格は失われず、江戸時代から近代までの建物が時代ごとに混在する町並みが残された。
伝建地区と世界遺産
大森銀山の町並みは、1987(昭和62)年に重要伝統的建造物群保存地区に選定され、2007(平成19)年には背後の山々や社寺、石切り場などを含む約129.9ヘクタールが追加選定されて、地区は約162.7ヘクタールに広がった。
同じ2007(平成19)年には、「石見銀山遺跡とその文化的景観」として世界遺産に登録された。銀山の坑道跡だけでなく、それを支えた大森の町並みと周囲の自然環境までが一体で評価されたもので、大森はその中核をなしている。
町歩きの見どころ
町並みの北の起点は大森代官所跡で、現在は石見銀山資料館として公開されている。その南へ、銀の積み出しで財をなした豪商の熊谷家住宅(重要文化財)や河島家住宅、旧大森区裁判所の建物を活用した町並み交流センターなどが点在する。石見銀山 群言堂本店のような商家の建物を活かした店も多く、歩きながら立ち寄れるのがこの町の魅力だ。
通りの背後には羅漢寺の五百羅漢や城上神社などの社寺も残り、銀山とともに生きた町の信仰の形を伝えている。中心部の約800メートルに店舗や観光施設が集まり、ゆっくり見学すると1時間半ほどかかる。
